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事例
2026.07.01

ドローン点検業務に必要な資格とは?国家資格の難易度やスペシャリスト

インフラの老朽化対策や人員不足の解消に向けて、ドローン点検の導入を進める企業や自治体が増えています。しかしいざ導入を検討すると、どのような資格が必要なのか。国家資格は本当に取得すべきなのかと迷うDX担当者の方も少なくありません。

ドローンを業務で活用するには、操縦者のスキル管理と法律の遵守が必須です。この記事では、インフラ点検に求められる国家資格や民間資格の種類、難易度、法人として取得するメリットを分かりやすく解説します。

さらに記事の後半では、操縦スキル以上に重要となる「機体のセキュリティリスク(乗っ取り対策)」という、多くの担当者が見落としがちな盲点についても詳しく紐解いていきます。

ドローンを使ったインフラ点検に資格は必要?最新のルールを解説

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ドローン点検を本格的に導入する際、最初に確認しておきたいのが、資格は必要なのかという点です。ドローンを取り巻く法律やルールは近年、急速に整備されています。

まずは現在の法的な位置づけと、新しく始まった国家資格の基本について解説します。

資格なしでも点検はできる?法律上の決まり

結論から言うと日本の法律上、資格を持っていなくてもドローンを操縦すること自体は可能です。しかし、実際のインフラ点検(橋梁、送電線、プラントなど)の現場では、資格なしでの運用は現実的ではありません。

なぜなら、多くの人が暮らす地域(人口集中地区)での飛行や、操縦者からドローンが見えなくなる飛行(目視外飛行)などを行う場合、国土交通省への事前の「飛行許可・承認」が必須となるためです。無資格のまま業務を行おうとすると、この許可申請の手続きが非常に複雑になり、点検業務をスムーズに進める上での大きな足かせになってしまいます。

新しく始まったドローンの国家資格とは?

ドローンを取り巻く環境は、2022年12月に大きく変わりました。国が操縦者の技能や知識を証明する「無人航空機操縦者技能証明(国家資格)」制度がスタートしたのです。

この国家資格は自動車の運転免許のように、国が「この人は安全にドローンを飛ばす知識と技術を持っています」と公的に認める制度です。ビジネスでドローンを本格運用する企業にとって、操縦者のスキルレベルを対外的に証明する重要な指標となっています。

ドローンの国家資格は意味ないという噂の真相

インターネット上では、ドローンの国家資格は意味がないという意見を見かけることもあります。たしかに規制のない限られた私有地で趣味としてドローンを飛ばすだけであれば、高額な費用をかけて国家資格を取るメリットは少ないかもしれません。

しかし、インフラDXを進めるビジネスの現場においては、国家資格は大いに意味があると言い切れます。法人として点検業務を行う場合、発注元(自治体や大手インフラ企業)に対するコンプライアンス(法令遵守)の証明になりますし、飛行許可申請の手間を大幅に減らせるという実務上のメリットも非常に大きいためです。

点検業務で役立つ国家資格の種類と合格の難易度

国家資格の取得は、点検業務を安全かつ効率的に進めるための強力な武器になります。資格の種類や難易度、そして取得にかかる費用感を知ることは社内の人材育成計画や予算を組む上で欠かせない情報です。具体的な中身を見ていきましょう。

一等と二等は何が違う?点検に必要なレベル

国家資格には「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2つの区分があります。

  • 一等資格
    立ち入り管理措置を講じない目視外飛行(有人地帯での目視外飛行・レベル4飛行)を行うための上位資格
  • 二等資格
    立ち入り管理措置を講じた上で行う飛行(レベル3飛行まで)に対応する資格

一般的なプラント点検や橋梁点検であれば、基本的には「二等資格」があれば実務に対応できます。そのためインフラDXの第一歩としては、まず二等資格の取得を目指すのが確実なルートとなります。

建物の裏側や夜間も飛ばすために必要な特別な許可(限定解除)とは

ドローンの国家資格には、自動車免許の「AT限定」のような制限が初期状態として設けられています。しかし実際のインフラ点検では、建物の陰にドローンが隠れて見えなくなる「目視外飛行」や夜間のトラブルに対応する「夜間飛行」が頻繁に発生します。

この高度な飛行を適法に行うためには、二等資格を取得する際に(あるいは取得後に)「目視外飛行」や「夜間飛行」といった制限を外すための試験(限定解除審査)に合格する必要があります。自社が想定している点検現場の環境に合わせて、どの限定解除が必要かを見極めることが大切です。

国家資格を取るための難易度と費用の目安

国家資格に合格するためには、学科試験と実地試験(実技)の両方をクリアする必要があります。試験の難易度は、適切な訓練を受ければ十分に合格できるレベルですが、全くの未経験から独学で一発合格するのは容易ではありません。

そのため、多くの企業では国が認定した「登録講習機関(ドローンスクール)」に通って実地試験の免除を受け、学科試験に臨む方法をとっています。スクールを利用する場合、費用は講習内容や操縦者の経験値(初学者か経験者か)によって異なりますが、二等資格で数十万円単位となるケースが一般的です。

会社がドローンの国家資格を取得させる3つのメリット

費用や時間をかけてでも企業が社員に国家資格を取得させることには、主に3つの大きなメリットがあります。

  • 飛行許可申請の一部簡略化
    国土交通省へ行う飛行申請の手続きが大幅にスムーズになり、業務のスケジュールが組みやすくなります。
  • 発注元(クライアント)への信頼性担保
    自治体や大手企業から点検業務を受託する際、国家資格の保有者がいることは強力なアピール材料になります。
  • 事故リスクの低減と保険の優遇
    確かな技術を身に付けることで現場の事故を未然に防ぎ、万が一の際にもドローン専用保険の適用や責任の所在明確化において有利に働きます。

即戦力になる民間資格と点検のスペシャリスト

国家資格が「公道を走るための運転免許」だとすれば、民間資格は「特定の仕事をプロとしてこなすための実務スキル」に例えられます。法律上のルールをクリアした上で、さらに点検の精度を上げるために役立つ民間資格やスペシャリストの存在について解説します。

点検の専門スキルを証明するドローン点検スペシャリストとは

民間資格の中には「ドローン点検スペシャリスト」などの名称で、点検業務に特化した独自のカリキュラムを提供している団体があります。

国家資格の試験では、安全に美しく飛行させることが中心ですが、点検特化型の民間資格では「構造物のどこをどのようなカメラ角度で撮影すればひび割れや異常を正確に記録できるか」「赤外線カメラをどう活用すべきか」など現場に直結するプロのノウハウを学ぶことができます。

インフラ点検やドローン測量に強い民間資格の種類

インフラの維持管理には、点検だけでなく「ドローン測量(地形や構造物の形を立体的に計測する技術)」の知識も深く関わってきます。

この分野では、古くから実績のあるJUIDA(日本UAS産業振興協議会)やDPA(ドローン操縦士協会)などが発行する民間資格が有名です。この団体が提供する「測量」や「構造物点検」の専門コースで培った知識は、取得後の点検データの解析や長期的な修繕計画を立てる現場において非常に重宝されます。

国家資格と民間資格どちらを優先して取得すべき?

社内で資格取得を推進する場合のベストな戦略は、まず国家資格を取得しその後に必要に応じて民間資格で専門性を高めるという順番です。

国家資格は、業務を適法に行うための絶対に崩してはならない土台です。その土台の上に、自社の業務内容(橋梁点検なのか、外壁点検なのか、あるいは測量なのか)に合わせて民間資格のノウハウを上乗せしていくことで最も効率よく、安全で確実な即戦力パイロットを育成できます。

【重要】資格よりも大切?インフラ点検で最も警戒すべき機体乗っ取りのリスク

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ここまでは操縦者のスキル(資格)にスポットを当ててきましたが、インフラDXの担当者が最も警戒しなければならないリスクがもう一つあります。それがドローン自体や通信システムの乗っ取りです。

どれほど高度な資格を持った優秀な操縦者がコントロールしていても、ドローン自体のセキュリティに重大な欠陥があれば、最悪の場合、企業の存続や社会の安全を揺るがす事態に発展しかねません。

橋やプラントの点検データが盗まれる?サイバー攻撃の恐怖

ドローンが点検する対象は、橋梁や送電線、ダム、化学プラントなど国の基盤となる「重要インフラ」です。点検中のドローンが撮影する高精細な画像や赤外線データ、周囲の3Dマップデータなどは、いわばインフラの「詳細な設計図」そのものです。

もしサイバー攻撃によってドローンの通信が傍受されたり、システムが乗っ取られたりすれば極めて機密性の高いデータが外部に漏洩し、インフラの脆弱性を悪意ある第三者に暴露してしまうことになります。

スキルが優秀な操縦者でもドローン本体の弱点は防げない

国家資格を持ったプロが操縦しているから安心だという油断は禁物です。どれほど飛行技術が優れていても、ドローンの機体や操縦アプリにバックドア(不正な侵入経路)が仕込まれていたり、通信の暗号化が不十分だったりした場合、人間の操縦テクニックでサイバー攻撃を防ぐことは絶対に不可能です。

資格取得はあくまで操縦者の安全運転の保証であり、データや機体自体の安全保証ではないという事実をDX担当者は強く認識しておく必要があります。

国が推奨する安全性の高いドローン(政府調達基準)の選び方

どのようにしてこのリスクに対処すればよいのでしょうか。国や重要インフラに関わる機関では現在、ドローンを導入する際の「セキュリティ基準」を非常に厳しく設定しています。

具体的には製造国やメーカーが明確であり、通信データが強力に暗号化されていること、クラウドへのデータ転送経路が安全であることなどが求められます。単に価格が安いから、性能が良いからという理由だけで、セキュリティ対策が不透明な海外製のドローンを導入することは、企業にとって致命的なサイバーセキュリティリスクを抱え込む原因になります。

国が示す政府調達基準に準拠した、安全性の高い機体(セキュアなドローン)を選定することが必須です。

まとめ:操縦者の育成と安全なドローン選びをセットで進めよう

ドローンを使ったインフラ点検業務を安全に、そして確実に成功させるためには、次の「2つの軸」を同時に進めることが重要です。

  • 国家資格の取得
    法律を遵守し、現場を安全にコントロールするための「確かな操縦技術(人の強化)」
  • 安全な機体の選定
    サイバー攻撃やデータ漏洩から重要インフラを守るための「高度なセキュリティ性能(高度な機体選定)」

操縦者の資格取得はインフラDXの土台として必須ですが、それと同時にシステム自体が乗っ取られないことへの対策を講じて初めて、本当の意味での安全な運用が実現します。

人の育成と機体の安全性の確保。この両輪をセットで計画に組み込み、リスクのない強固なインフラ点検体制を構築していきましょう。

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