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事例
2026.07.01

ドローン測量のやり方と全手順マニュアル|GCP設置や3D点群データ

インフラ業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、現場の効率化の切り札として注目されているのが「ドローン測量」です。自社の現場にも導入したいけれど、具体的にどんな手順で進めるのかわからないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ドローン測量の基礎知識から具体的な実務の手順、自社導入へのステップまでを初心者向けに分かりやすく解説します。

そもそもドローン測量とは?初心者向けに基礎知識をわかりやすく解説

ドローン測量は、航空機や地上からの測量に比べて「早く・安く・安全に」広範囲のデータを取得できる画期的な手法です。

インフラDXを推進する上で欠かせない技術ですが、まずはその基本となる2つの測定方法やドローンだからこそ得られるメリット、そして実際に作られる成果物について分かりやすく解説します。

カメラ(写真)とレーザーの2つの方法はどう違う?

ドローン測量には、大きく分けて「写真測量」と「レーザー測量」の2種類があります。

まず「写真測量(カメラ)」は、ドローンに搭載した高解像度カメラで、少しずつ重なり合うように連続写真を撮影し、後からパソコンで立体データに合成する方法です。比較的コストが安く抑えられるため、ひらけた土地や構造物の測量に向いています。

一方で「レーザー測量(LiDAR)」は、ドローンから地上に向けてレーザー光線を照射し、跳ね返ってくる時間から地形を測る方法です。機材そのものは高価ですが、草木を通り抜けて地面に届くため木が生い茂る森林や山間部でも草木に邪魔されず、正確な地形を測れるのが大きな強みです。

従来の測量と何が違う?ドローンを導入する3つのメリット

作業員がトータルステーションなどの重い機材を担いで現場を歩き回る従来の測量と比べ、ドローン測量には主に3つのメリットがあります。

圧倒的なスピード(時短)

人が歩いて数日かかるような広大な現場や上り下りが大変な急傾斜地でも、ドローンならわずか数十分のフライトで全体のデータを取得できます。

作業員の安全確保

災害現場や崩落の危険がある崖、足場が悪く立ち入りが難しい危険な場所でも、離れた安全な場所から見守るだけで測量が可能です。

少人数での運用が可能

これまでは複数人のチームで時間をかけて行っていた作業が、ドローンを使えば最小限の人数でカバーできるようになり、人手不足の解消にも繋がります。

ドローン測量で何が作れる?3D点群データと真上からの写真

ドローン測量を行うとパソコンの画面上で現場の状況がひと目でわかる、主に2つの「目に見えるデジタルデータ」が完成します。

ひとつは「3D点群データ」です。これは何百万個、何千万個という膨大な位置情報を持った点の集まりで、パソコン上に現場をそのまま立体再現したデータになります。これで土の量(土量)を瞬時に計算できるようになります。

もうひとつは「オルソ画像(真上からの写真)」です。ドローンで斜めから撮影した写真は、そのまま並べるとどうしても歪みが出てしまいますがパソコンで平らに修正し、地図のように真上から見た正確な1枚の画像に合成したものです。

【全手順】初めてでもわかるドローン測量の具体的なやり方・流れ

ドローン測量を実際に行う際、ただ機体を飛ばして撮影すれば良いわけではありません。正確な地形データを取得するためには、事前の準備から飛行、そして撮影後のデータ処理までの一連のワークフロー(流れ)があります。

この章では、実務の全手順を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:事前の飛行計画と役所への申請手続き

ドローン測量の第一歩は、どこをどのように飛ばすかの計画を立てることから始まります。専用の計画ソフトを使い、撮影したい範囲、ドローンの飛行高度、写真の重なり具合(ラップ率)などを現場に合わせて細かく設定します。

計画と同時に忘れてはならないのが、役所への申請手続きです。ドローンを屋外で飛ばすためには、航空法に基づいた国土交通省(DIPS)への飛行許可・承認申請が欠かせません。また、飛行場所の管理者や土地所有者への事前確認、手続きもあらかじめ進めておきます。

ステップ2:測量のズレを防ぐ目印|標定点(GCP)の設置と計測

ドローンが撮影した写真には、どうしてもわずかな誤差が含まれてしまいます。そこで、位置のズレをきれいに補正して正しい座標に合わせるための「目印」を地面に設置します。これを「標定点(GCP:Ground Control Point)」と呼びます。

具体的には現場の四隅や中心部に、白黒のターゲット板などの対空標識を配置します。そしてその中心の正確な位置を、あらかじめ地上の測量機(GNSS受信機など)を使って計測しておきます。このひと手間を惜しまないことが、最終的な測量精度を劇的に高める鍵となります。

ステップ3:自動飛行アプリを使った安全なフライトと撮影

事前の準備と目印の設置が完了したら、いよいよフライトです。ドローン測量では、パイロットがプロポ(送信機)のスティックを握って手動で操縦することはほとんどありません。

ステップ1であらかじめ作っておいた飛行計画データをドローンに読み込ませ、自動飛行アプリを使ってボタン一つで離陸させます。ドローンはあらかじめ決められたルートを正確に、かつ等間隔で進みながら自動でシャッターを切って現場全体の写真を漏れなく撮影し、自動で手元まで戻ってきます。

ステップ4:パソコンソフトを使った3Dデータ(点群データ)の作成

フライトが無事に終わったらドローンからSDカードを取り出し、撮影した大量の写真データをオフィスのパソコンに持ち帰ります。

この写真を専用の「三次元形状復元ソフト(SfMソフト)」に読み込ませます。ここでステップ2で計測しておいた「標定点(GCP)」の正確な位置情報を写真と紐付けます。するとソフトが自動で写真を解析・合成し、誤差のない高精度な「3D点群データ」や「真上からの写真」を作り上げてくれます。

ドローン測量を自社で始めるための準備と3つのステップ

ドローン測量の具体的な流れがイメージできたら、次は自社への導入に向けた具体的な準備について考えていきましょう。機材の選定からスタッフの育成、外注とのコスト比較に至るまで、インフラ担当者が社内での検討をスムーズに進めるための3つのステップをまとめました。

どんなドローンやソフトを選べばいい?必要な機材の揃え方

ドローン測量を自社でスタートさせるためには、大きく分けて3つの機材やソフトを揃える必要があります。

まずは「測量用ドローン本体」です。測量では数センチのズレも許されないため、カメラの性能が高く、位置情報の精度を限界まで高める機能(RTK機能など)が搭載されたビジネス専用のドローンを選びます。

次に、ドローンにルートを指示するためのタブレット端末と「自動飛行用のアプリ」を用意します。そして最後に、撮影した写真から3D点群データを作成するための「データ解析ソフト」を購入、またはサブスクリプションで契約します。

国家資格は必要?操縦ライセンスの取得とスタッフの育成方法

ドローン測量を行うにあたり、法律上「国家資格がなければ絶対に飛ばしてはいけない」というわけではありません。しかし、現場での万が一のトラブルを防ぐ安全管理や国交省への飛行申請をスムーズに進めるためには「無人航空機操縦士(一等・二等)」の国家資格をスタッフに取得させることが強く推奨されます。

現在は専門のドローンスクールが充実しているため、活用すれば実技と座学を効率よく学び、短期間で現場を任せられるプロの操縦者を社内で育成できます。

どっちがお得?自社でやる(内製化)と外注するのコスト比較

自社で機材を購入して運用する「内製化」と、専門の測量業者に依頼する「外注」には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。社内の運用頻度に合わせて選ぶのがポイントです。

項目 自社でやる(内製化) 外注する(委託)
初期費用 機材やソフト、資格取得で数百万円〜 0円
ランニングコスト 維持費、ソフトの更新料など 1回あたり数十万円(現場の広さによる)
メリット スケジュール調整が自由、ノウハウが社内に溜まる 機材購入や人材育成の手間がない
適した企業 測量の頻度が高く、長期的なDXを目指す企業 年数回しかドローンを使わない企業

インフラ担当者が知っておくべきドローンのセキュリティリスク

ドローン測量の導入検討を進める上で、多くの担当者が見落としがちなのが「セキュリティリスク」です。ドローンは単なる撮影用のおもちゃではなく、インターネットやPCと繋がる空飛ぶ精密コンピューターです。

扱うデータの重要性と、現在潜んでいる安全保障上のリスクについて詳しく見ていきましょう。

測量で得た地形データは国家の重要な機密情報

ドローン測量によって取得される「3D点群データ」や「高解像度の地形写真」は、単なるきれいな画像ではありません。道路、橋梁、ダム、変電所といった私たちが暮らす社会を支える重要インフラの構造や、精密な3次元の地形そのものです。

このデータは、万が一悪意のある第三者や外国の手に渡ればインフラの弱点を突いたサイバー攻撃や物理的なテロに悪用されかねない、国家の安全保障に関わるきわめて重要な機密情報そのものなのです。

海外製のアプリや機体を使い続けることの危険性とデータ流出リスク

現在、世界中で広く普及しているドローンや自動飛行アプリの多くは海外製です。しかしこの機体やアプリの中には、飛行ログや撮影した画像データ、さらには詳細な位置情報がクラウド経由で海外のサーバーへ自動的に送信されてしまう仕組みを持つものが存在します。

企業のコンプライアンスや防衛・公共に関わる現場において、このような海外製ツールを使い続けることは、企業が気づかないうちに国家の重要情報を海外へ流出させてしまう深刻なリスクをはらんでいます。

国や自治体でもスタートしている海外製ドローンの規制の動き

この安全保障上のリスクに対し、日本政府や各自治体はすでに明確な動きを見せています。政府の方針として、安全保障上のリスクがある海外製ドローンは調達しない、または速やかに安全な機体へリプレイス(置き換え)するという厳しい規制が数年前から敷かれています。

公共インフラの維持管理や政府・自治体発注の案件に関わる民間企業にとっても、セキュリティ対策が不十分なドローンを使用し続けることは、今後の入札案件の受注機会を失うリスクに直結します。

データの安全を守るために|信頼できる国産ドローンへの切り替えが急務な理由

重要インフラの情報を扱い、国の規制にも対応していくためにはデータの漏洩を完全に防ぐ対策が必須です。そこで多くのインフラ企業や自治体で進められているのが、安全性が保証された「国産ドローン」への移行です。

なぜ今リプレイスが必要なのか、そのメリットと具体的な手順を解説します。

なぜ今、海外製から国産ドローンへの移行が求められているのか?

理由は極めてシンプルで、日本の重要インフラと自社の信用をデータ流出のリスクから守るために他なりません。

どれだけドローン測量によって現場の業務を効率化できても、その引き換えに大切なデータが海外に流出してしまっては、インフラDXの本質に反します。企業のコンプライアンスや社会的責任が厳しく問われる現代において、情報漏洩のリスクを根本から排除できる「国産機」への切り替えは、もはや避けて通れない急務となっています。

国産ドローンならではの安心感:高度な暗号化とデータの国内管理

安全性を第一に考えて開発された国産ドローンには、海外製にはない確固たる安心感があります。

まず大きな特徴が「データの暗号化」です。ドローン本体と送信機の間の通信だけでなく、SDカード内のデータ自体が高度に暗号化されているため、万が一現場で機体を紛失するようなことがあっても、中身を盗み見られる心配がありません。

さらに「国内サーバーでの管理」が徹底されています。自動飛行アプリや解析で使用するクラウドサーバーが日本国内に限定されているため、データが海外のサーバーを経由したり蓄積されたりすることがなく、日本の法律のもとでデータが完全に保護されます。

業務を止めずにスムーズに機体を買い替える(リプレイス)手順

既存の海外製ドローンから、セキュアな国産ドローンへのリプレイスを現場の負担なく進めるには、3つのステップを踏むのがおすすめです。

社内ドローンの総点検

現在、自社や外注先が現場で使用している機体・アプリ・ソフトの製造国とセキュリティ仕様をすべて洗い出します。

国産機へのデモ・試用要請

国産ドローンのメーカーや代理店に問い合わせ、測量精度や使い勝手がこれまでの機体と同等以上か、実際の現場でテスト運用を行います。

順次リプレイスの計画策定

現在の機体のリースアップや更新時期に合わせてセキュリティ予算を確保し、順次国産機へと入れ替えていきます。あわせて、スタッフへの新しい機体の操作研修を並行して進めます。

まとめ:安全なドローン選びこそがインフラDX成功の第一歩

ドローン測量は人手不足や工期短縮に悩むインフラ業界の救世主であり、そのやり方や手順さえマスターすれば、劇的な業務効率化(インフラDX)を実現できます。

しかし、効率化の裏にあるセキュリティ対策を怠れば、せっかくの取り組みが企業の大きな足かせになりかねません。取得する地形データは国家の機密情報であるという意識を持ち、データの完全保護を約束する「セキュアな国産ドローン」を選定すること。これがこれからのインフラDXを安全に、そして確実に成功させるための最も重要な第一歩です。

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